なぜベッティングシステムが重要なのか?

By Jack Ratcliffe(ジャック・ラトクリフ)
Edit : by hal (P4T.net team / EU betting division)

ステーク: ベッティングを改善するひとつの方法

私たちは実際により強力なベッティング方法を探るため、5つの方法を見直しました。
ここからどれが最適なのか?検証します。

Edward Oakley Thorp(エドワード・オークリー・ソープ/以降エド・ソープ)という男が居る。
カードのプロギャンブラー。
カジノへ数学理論を持ち込み、ブラックジャックなどのゲームでラスベガスを引っ掻き回したことで知られている。大手のカジノはこれを機にブラックジャックのルール改正などをせざるを得なくなり、ギャンブル界に大きな影響を与えた。

2冊の本を著作するまでになったエド・ソープだったが、そのプロフェッショナルな専門知識にも関わらず彼はこのように言っている。

「私がカードゲームで成功できたのはJohn Kelly Jr.の”Kelly criterion”(※1)のお陰に他ならない」

「プレイする際に25~30%手に入れようとするならば、60~70%でベッティングする」(※2)

※1 John Kelly Jr. : John Larry Kelly, Jr.(ジョン・ラリー・ケリー・ジュニア)アメリカの科学者
   ”Kelly criterion” : 「ケリー基準」収益を最大化する経済学の法則
※2 「ケリー基準」一回の賭け金を所持金に対してどの位の割合で賭けたらよいかという基準のこと
   この基準をベースに話されていることに注意願いたい

もちろん、ベッティング方法が重要だと言うことは簡単だ。
しかし何をもってそれを有効な方法だと言えるのだろうか?

私たちはAlex Bellos(アレックス・ベロス)著「Alex’s Adventures in Numberland」に感化され、
5つのベッティング方法(以降ベッティングシステム)で500回に渡って実施した結果をマッピングしてみた。

上図のグラフはバイナリーベット(2択方式)の勝率55%で、A~Eの5タイプのベッティングシステムを使い、それぞれ500回のテストベットを実施した際の利益変動を示している。
各ベッティングシステムの初回ベットは100ドル。
それぞれ保有資金は1000ドルで開始し、各システムで500回のテストベットが行なわれた(もしくは資金が無くなるまで)。

見てお分かりのように、あるベッティングシステムは他のものよりも遥かに大きなリターンをもたらしている。その一方で直ぐに破綻してしまうシステムもあった。

以下はこれら5タイプのベッティングシステムの概要だ。
A~Eの各アルファベットはそれぞれどのシステムを表しているか解るかな?

方法1 : 毎回全額投資する

毎回のベットで全額を投資する。すぐに大きなリターンを得られるのが利点だ。
だが、弱点は?負けるとすぐに資金が無くなり、続行不可となる。

方法2 : 定額投資法

各ベットで定額を投入、どれだけ勝ったとしても金額は一定額を維持する方法。
この例では一定額は100ドル。2000回のテストベットで勝率が55%の場合、この方法だと資金を失う確率を劇的に減らすことが可能。しかし今回の場合、利益は少しづつ、着実にしか増やせない。

方法3 : マーチンゲール法

ベットを外したら賭け金を倍にして次の勝利で損失を埋め合わせする方法。
これで定額投資よりも素早く増やすことが出来る。(損失が出たら賭け金を倍にするため)
しかし、連続して負けてしまうと必要な賭け金は倍々に増えてしまうため、次第に大きな金額のベットとなってしまう。

方法4 : フィボナッチ係数式(ココモ式とも言われる)

賭け金を次の勝利金で埋め合わすため、フィボナッチ数に従って増やす。
この方法にはマーチンゲール法と同じような弱点があるが、負けが続いている場合でも賭け金が増加する割合を減らすことが出来る。(ただし、勝率も減る)

方法5 : プロポーショナルベッティング(比例ベット)

注 : ここでは”edge”(エッジ)という言いまわしが多く出てくるが、これは「強み」もしくは「期待値」と考えて欲しい。文中ではそのまま「エッジ」とする。

エッジに比例して資金の一部をベットする。このテストでは比例ベッティングにケリー基準を採用した。
ケリー基準ではベットはエッジをオッズで割ったものになる。
この例ではエッジは10%、オッズはイーブンなので10を1で割って10となる。

従って元本1000ドルの10%である100ドルが初回ベット額。
このベットが成功したら、次のベットを1100ドルの10%にあたる110ドルに増額する。
これは勝利金が定額投資法よりも速く増加し、損失の減り方を遅く出来ることを意味する。

ここで各ベッティングシステムの正解を。

A : 毎回全額投資する

B : マーチンゲール法

C : 定額投資法

D : プロポーショナルベッティング(比例ベット)

E : フィボナッチ係数式

以上の説明から解るように、プロポーショナルベッティングが他のベッティングシステムよりも優位なことが判る。
最後の100ドルまで減ったことを想像してみよう。その時、10ドルを賭けることになり(資金は減少するが)、定額投資法よりも遥かに長くゲームに留まることができるのだ。
定額投資法では、100ドルが最後のベット額になるかもしれないということである。

シミュレート結果を詳しく解説すると・・・

Aの全額投資を実施した場合、勝てば初回ベットで大きく増える。
それは他のベッティングシステムでは初期の7回分で稼ぐのと同じ位の額を1度のリスクで賄えてしまう。ただ、7倍の明るさで光るランプは1000分の1限り。
Aの全額投資法はわずか2回目のベットラウンドで破綻した。

Aの方法では勝率55%で1000ラウンドまで到達する確率は非常に少なく、事実上不可能だ。
(ラウンド26まで到達できれば670億ドルを稼げるのだが・・・)

累進的な方法のフィボナッチ係数式とマーチンゲール法も勢いよくスタートするが、連敗が続くと必要な賭け金が膨れ上がる。

実際のところ、このシミュレーションではラウンド83で11回連敗した。
この連敗でフィボナッチ係数式とマーチンゲール法の資金は無くなってしまった。
更に連敗していた最終11回目のベットでは、マーチンゲール法の場合、損失の埋め合わせに403,000ドルを賭けなければならなかったのだ。
マーチンゲール法の最大資金がわずか6,300ドルだったことを考えても、これは巨額になってしまったのである。
フィボナッチ係数式の最大ベット額は33,500ドル。資金が無くなる前に到達できた最高金額は4,100ドルであった。

プロポーショナルベッティング以外で損失を避けることが出来たベッティングシステムは、定額投資法。
元本資金は少しづつだが、安定して増えていった。
ラウンド83までに定額投資法は元本を3,400ドルまで増やした。
その後、2,300ドルまで減少しただけでゼロになることは無かったのだが、95回目のベットではそれほど多くなかった。

先の11回の連敗はプロポーショナルベッティングにもかなりの打撃を与え、勝利金を7,359ドルから2,286ドルに減少させた。
この額は定額投資法よりも低い数字になる。(その時点では。)

これは定額投資法がそれ相応の勝利金を補完できる可能性を示している。
しかし、最終500回目のベットまでに定額投資法では6,400ドルしか稼げなかった。
一方、プロポーショナルベッティングでは18,275ドルを稼ぎ出したのである。

これはベットする当人にエッジがあるという前提に基づいていることを忘れてはならない。
このエッジが無ければ全ての方法の結果は劇的に変わってしまう。

シミュレート結果はあなたのベッティングを後押しする

このシミュレーションは、たとえ変数が同じでも、賭け方によっては結果が大きく変化することを示しています。
全滅するのか?または500回目のベット後に18,275ドルを稼いでいるのかの違いは、単に適切なベッティング方法を選択することに他ならないのである。

しかし、「理想」のシステムは存在しないということに留意しよう。
ケリー基準は今回の例では上手く行ったが、全く別の種類のベットにはより高度なシステムが必要なのかもしれない。
このようなシミュレートやリサーチを通じて、どんな方法が自分のベッティングには適しているのか?使い分けることが大切だ。

また、ケリー基準法では賭け金を計算するためにエッジを利用するため、このエッジが解っている場合にのみ通用する。
エッジの計算が正しくない場合、何をするにしても困難になるだろう。
Pinnacle Sportsのアーカイブをよく読んでエッジを向上させていくことだ。


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この記事はPinnacle Sportsのベッティングアーティクルを正式に日本語化したものとなります。
Original article
記事をリライトすることに同意していただいた著者のジャック・ラトクリフに感謝致します
また、この記事の日本語化にあたりPinnacle社内に於いて手続きと協力をして頂いたミリオ・メッラに合わせて感謝致します
This article is officially Japanese language of Pinnacle Sports betting articles.
Thank you authors have agreed to rewrite the article to Jack Ratcliff.
And thanks according to Pinnacle Sports Customer Engagement Manager,Mirio Mella.


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